いろいろ空想してそれを文字にしています。haiku、10行の話、空想レシピなど。
by 空想家sio


冬尽くやオルガンを弾く瞼美し(haiku兎穴)

b0312706_21510181.jpg haiku兎穴
 


 今夜も紳士と共に、
 この深い穴の底で
 文字たちの醸す、景色を見る。

 


紳士は今夜、ひどく若く見える。

金色の髭を剃った顎は陶器のごとく艶やかで、
その顎の先は若鹿の蹄のよう。

貝のような瞼を持つ娘が
遠慮がちに、紳士を見つめている。

その肖像画はまるで写真のようだ。

いや、娘はそこで生きている。
時を止めるために、画となった娘。

恋故に、自分をそこに閉じ込めた。


これはあなたの恋人?
わたしは紳士に聞いた。

紳士は笑って、首を振る。
そして、句を詠み上げる。


冬尽くやオルガンを弾く瞼美し

地下食堂一片の肉を嚼み数式を解く

緋と紺のマント風花にすれ違ふ


美しき恋の記憶、冬の終わり。
紳士は時に嘘をつく。


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by houki666 | 2014-01-31 22:07 | haiku兎穴(紳士と共に)
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