いろいろ空想してそれを文字にしています。haiku、10行の話、空想レシピなど。
by 空想家sio


探偵フランネル3 (95行DEお話)

試験勉強をしている。

(明日は苦手な数学だ)

午前零時、俺の頭の中はワケのわからない
ウゾームゾー(有象無象)に占拠されている。

点Pとか対角線Eに従い、
それらが生きる世界で独り、さまよっている。

ココカラハヤクデタイ。


少し飽きて、スマホでtwitterを開いた。
タイムラインを見る。
おかしなツイートがあった。

部活の後輩のFのツイートだ。

(こいつはもうずっと学校に来ていない)

【何かをお捜しの際には
探偵フランネルまでお知らせ願います】

は?探偵フランネルってなんだ?
あの莫迦、何を始めたっていうんだ?

スルーして、解きかけの数式に戻る。
なんとか解けるか?・・・・解けない。

こんなんで俺、大学行けるのか?
将来、金を稼げるのか?


またFがツイートしている。

【何かお困りでしたら、その時もまた
探偵フランネルまでお知らせ願います】

おいおい、誰か相手してやれよ。
俺より切羽詰まっていないヤツいるだろ?

俺はため息を短くついてから、Fに返信した。

(ちょっとやけくそ気味だった)

【じゃあ、俺の未来を捜してくれ。
それか、この問題の解き方を
俺が理解できるように教えてくれ】


5分後、Fから返信が来た。

問題が解いてあった。
解き方が、こと細かに解説されている。

(塾の講師より分かりやすかった)

「こいつ、もしかしたら頭いいのか?
学年トップの点数で合格したって噂が
あったけど、あれ、ガセじゃなかったのか?」

俺は思わずつぶやいた。


バスケット部に入ってきた癖に
ほぼ運動能力ゼロで、
ウオーミングアップで息を上げ、
部活時間の後半はふらふらとなり
体育館の隅でひっくり返っていた、

顧問の先生に何度注意されても
顔を覆うほど長い前髪を切ってこない、
身長160センチそこそこの
チビで小食なFの

そのやけに無邪気な笑顔を思った。


解答の下に文章があった。

【貴殿の未来については捜索を続けます。
しかしながら大変難しい捜し物なので
時間がかかると思われます。
が、探偵フランネルにおまかせいただいた以上
必ず捜し当ててみます。それには一度
事務所までおいでいただき、くわしいお話を
お聞かせ願えればと思います。
手がかりがなければ、いくら探偵フランネルといえど
ポワロのごとき素晴らしき灰色の脳細胞を
動かすことは不可能に近いのです。】

事務所の住所が書いてあった。
桜が丘団地D棟407とあった。



桜ヶ丘団地とは、
その名前のバス停がある市営の巨大な団地だ。

俺の家の割と近くにある。

俺の母親はあそこには
母子家庭と世間では言われる母子や
身寄りの無いお年寄りや
障害のあるひとが主に住んでいると言っていた。

俺はふたたびFの無邪気な笑顔を思った。


俺はFに返信した。

【試験が終わったら行くよ。
その前に朝まで俺に数学を教えてくれ。
マジで困っているんだ。
赤点取ったら部活に出られねえし】

【承りました。分からないのは
教科書のどのあたりですか?】

俺は朝までFに数学を教わった。
Fはすこぶる優秀だった。



夜が明けた。
俺は一晩で数学のテスト範囲を理解した。

Fは俺と一緒に徹夜をした。

【ありがとう】と打つと
【疲れました、ぼくはもう寝ます】と返ってきた。

体力の無いFはへとへとのようだった。


俺の数学の成績は赤点どころか
平均点を遙かに超えて、クラスで10番以内に入った。

俺はゆうゆうと部活に参加した。

赤点を取ったやつらが俺に聞いてきた。

「おまえ、なんで今回、数学良かったんだよ?」
「俺、おまえはてっきりアカだと思ってたぜ」

俺は笑って答えた。

「探偵フランネルに依頼したのさ。
赤点を取らさないでくれってな」


明日の午後、
俺は探偵フランネルの事務所を訪ねるつもりだ。



(95行DEおしまい)



※またも95行まで書いてしまった。
これは10行で書くオハナシなのに。
うーん、反省、反省。






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by houki666 | 2014-02-22 11:49 | 10行de話(あなたの隣に)
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