いろいろ空想してそれを文字にしています。haiku、10行の話、空想レシピなど。
by 空想家sio


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遠野フランナ (15行DEお話)

亡霊となってかれこれ二十年。

(亡霊とはなんぞや?と辞書を引くと
それは【死者の魂】なのだそうだ)

亡霊はコーヒーが好きで
毎日6杯は濃いそれを飲み、
寒い縫製工場で一日6時間働いている。


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亡霊は付け睫毛収集家なので、
時折請われて、小さなCAFEで
展示会と講習を行う。

(その時だけ、
亡霊は浮き世の名を名乗る)

なんとも変な暮らしだが、
亡霊は満足している。


亡霊の名は【フランナ】
遠野フランナという。


(15DEおしまい)



※仕事と研修とその試験のため
時間に追いまくられて、書けない日々。
今日も午後より仕事です。

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by houki666 | 2014-02-25 08:47 | 10行de話(あなたの隣に)

喪い続ける。(夢のはなし)

うたた寝をして、夢を見た。
1年半前に亡くなった母が夢に出てきた。

(母が夢に出てきたのは3度目だ)

夢のなかでわたしは
母とわたしの娘ふたりと
父の弟とその奥さんといた。

瀬戸内の海沿いを走るという電車になかにいた。

その電車はおそろしく速いスピードで走り
おまけにその線路はまっすぐではなく
うねうねとまがりくねり、
あろうことか、直角に曲がるところもあった。

わたしは娘に心配をかけないように
ユーモラスな口調で叫んだ。

正直恐怖を感じていた。

「ねえ、これって脱線しないわよね」

母は答えた。

「だいじょうぶよ、そんなことにはならない」

母も怯えていた。

が、しかしその怯えが
わたしたちに伝わらないように必死で
明るい声を出していた。

それが、自分の故郷(父の故郷でもある)に
向かう電車だったかもしれない。

娘と孫を連れての久々の帰郷だったのだ。



でも数分後、電車は脱線し、田んぼと畦のうえに倒れた。

わたしたちは投げ出され、わたしたちは田んぼに
うねうねと走っている線路の上に残された。


母は線路に落ちている電線のようなものをつかんだ。

その先についているレバーのようなものを慌ててつかみ、
胸に押しつけるようにして、それを強くひっぱった。

それらにはまだ電気が流れているようだったので
わたしは不安になったが、母の動きを止めなかった。

母は電車を再び動かそうとしているようだった。

そのてきぱきとした動きを見て、
もしかしたら母は電車を修理する方法を
知っているのかもしれない、と思ってしまったのだ。


しかし異変が起きた。

電線と鉄のレバーがその熱で母の胸に溶け込んだのだ。

(案の定、そこにはまだ電気が流れていたのだ)

わたしは母の衣服が熱で溶け、
母の乳房があらわになるのを見、慌てて走り寄り、
レバーを母の乳房から剥がした。

乳房の皮膚が、レバーの表面についていたが、
躊躇はしていられなかった。

レバーに続いて、細い針金(電線の内部?)をも剥がした。
針金は熱を帯びて真っ赤に焼けていた。

母の乳房にはそれが数本張り付いていた。

わたしは必至でそれを剥がした。

剥がせば、相当の痛みがあるとわかっていたが、
剥がすしかなかった。

母の命をすくいたかった。


レバーと針金を畦に投げ捨て、わたしは大声を出した。

「ハンカチかタオル!!」

わたしは自分の娘ふたりと
父の弟とその奥さんを振り返って叫んだ。

誰も何が起こったのかわかっていなかった。
それどころか、ハンカチってなに?という顔をしていた。

「ハンカチ!患部に当てるの!
誰か、救急車を呼んで!」

わたしはふたたび叫んだ。

わたしの上の娘が体を跳ね上げるかのように
持っていたバッグを開けた。

「あんた、何やっているの!
電話持っていないの?
病院に電話して!」

わたしは父の弟に向かって怒鳴った。



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そこで目が覚めた。

おかあさん、と声が出た。


すぐそばで勉強をしていた上の娘が振り向いた。

「悪い夢を見たから、もう一度寝る」
というと、娘はうなずいた。


そしてわたしは毛布をかぶり、
乳房をくるむように体をまるめた。

涙が流れた。


まだわたしは母を喪い続けている。





※これは本当に見た夢。
あまりにも鮮明で、悲しく、
でも、忘れたくないので
番外編で【10行DEお話】に入れてみました。

(この夢に出てきた母は
病気になる前の元気な頃の母でした)

記せば残る。残すためにひとは書くんだなあ。







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by houki666 | 2014-02-22 16:19 | 10行de話(あなたの隣に)

探偵フランネル3 (95行DEお話)

試験勉強をしている。

(明日は苦手な数学だ)

午前零時、俺の頭の中はワケのわからない
ウゾームゾー(有象無象)に占拠されている。

点Pとか対角線Eに従い、
それらが生きる世界で独り、さまよっている。

ココカラハヤクデタイ。


少し飽きて、スマホでtwitterを開いた。
タイムラインを見る。
おかしなツイートがあった。

部活の後輩のFのツイートだ。

(こいつはもうずっと学校に来ていない)

【何かをお捜しの際には
探偵フランネルまでお知らせ願います】

は?探偵フランネルってなんだ?
あの莫迦、何を始めたっていうんだ?

スルーして、解きかけの数式に戻る。
なんとか解けるか?・・・・解けない。

こんなんで俺、大学行けるのか?
将来、金を稼げるのか?


またFがツイートしている。

【何かお困りでしたら、その時もまた
探偵フランネルまでお知らせ願います】

おいおい、誰か相手してやれよ。
俺より切羽詰まっていないヤツいるだろ?

俺はため息を短くついてから、Fに返信した。

(ちょっとやけくそ気味だった)

【じゃあ、俺の未来を捜してくれ。
それか、この問題の解き方を
俺が理解できるように教えてくれ】


5分後、Fから返信が来た。

問題が解いてあった。
解き方が、こと細かに解説されている。

(塾の講師より分かりやすかった)

「こいつ、もしかしたら頭いいのか?
学年トップの点数で合格したって噂が
あったけど、あれ、ガセじゃなかったのか?」

俺は思わずつぶやいた。


バスケット部に入ってきた癖に
ほぼ運動能力ゼロで、
ウオーミングアップで息を上げ、
部活時間の後半はふらふらとなり
体育館の隅でひっくり返っていた、

顧問の先生に何度注意されても
顔を覆うほど長い前髪を切ってこない、
身長160センチそこそこの
チビで小食なFの

そのやけに無邪気な笑顔を思った。


解答の下に文章があった。

【貴殿の未来については捜索を続けます。
しかしながら大変難しい捜し物なので
時間がかかると思われます。
が、探偵フランネルにおまかせいただいた以上
必ず捜し当ててみます。それには一度
事務所までおいでいただき、くわしいお話を
お聞かせ願えればと思います。
手がかりがなければ、いくら探偵フランネルといえど
ポワロのごとき素晴らしき灰色の脳細胞を
動かすことは不可能に近いのです。】

事務所の住所が書いてあった。
桜が丘団地D棟407とあった。



桜ヶ丘団地とは、
その名前のバス停がある市営の巨大な団地だ。

俺の家の割と近くにある。

俺の母親はあそこには
母子家庭と世間では言われる母子や
身寄りの無いお年寄りや
障害のあるひとが主に住んでいると言っていた。

俺はふたたびFの無邪気な笑顔を思った。


俺はFに返信した。

【試験が終わったら行くよ。
その前に朝まで俺に数学を教えてくれ。
マジで困っているんだ。
赤点取ったら部活に出られねえし】

【承りました。分からないのは
教科書のどのあたりですか?】

俺は朝までFに数学を教わった。
Fはすこぶる優秀だった。



夜が明けた。
俺は一晩で数学のテスト範囲を理解した。

Fは俺と一緒に徹夜をした。

【ありがとう】と打つと
【疲れました、ぼくはもう寝ます】と返ってきた。

体力の無いFはへとへとのようだった。


俺の数学の成績は赤点どころか
平均点を遙かに超えて、クラスで10番以内に入った。

俺はゆうゆうと部活に参加した。

赤点を取ったやつらが俺に聞いてきた。

「おまえ、なんで今回、数学良かったんだよ?」
「俺、おまえはてっきりアカだと思ってたぜ」

俺は笑って答えた。

「探偵フランネルに依頼したのさ。
赤点を取らさないでくれってな」


明日の午後、
俺は探偵フランネルの事務所を訪ねるつもりだ。



(95行DEおしまい)



※またも95行まで書いてしまった。
これは10行で書くオハナシなのに。
うーん、反省、反省。






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by houki666 | 2014-02-22 11:49 | 10行de話(あなたの隣に)

小豆を煮る (25行DEお話)

今朝、大雪の影響で
母がいつも行くデイサービスが休みだった。

この1年、母は認知症が進み、
わたしが仕事に行っている間、
独りで家に置いておくのが不安で、
せめて夕方まででも、と
週5日デイサービスを利用しているのだ。

雪のなか、仕事に出かけようと
玄関で長靴を履いていると
母が後ろに立って言った。

「足下に気をつけていきなさい。
あんたの好きな小豆を煮ておくから
試験、がんばりなさい」

わたしははっとして振り返った。


母がいた。
ママがいるから大丈夫よ、という顔で微笑んでいた。

わたしに傘を渡し、コートの襟を直してくれた。


二十数年前、わたしは大学受験の試験を受けた。
その日の朝、(今日の雪には及ばないが)雪が降り、
母は、長靴を履いて試験に向かうわたしに、そう声をかけたのだ。


駅に向かいながら、わたしは
積もった雪に足をとられ、何度も転んだ。

でもわたしは嬉しかった。
雪に感謝をしながら、駅まで歩いた。


夜、わたしが母に小豆を煮ようと思う。

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(25行DEおしまい)

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by houki666 | 2014-02-15 15:19 | 10行de話(あなたの隣に)

夢と雪 (10行DE話)

昨夜、夫を殺す夢を見た。

優しい人だと思っていた夫が
実はひとを脅して、金を奪い、
時には殺して捨てていると知り、

無我夢中でその腹と胸をナイフで刺したのだ。

怖ろしい思いで目を覚ました。
カーテンを開けると雪が降っていた。

わたしは雪を眺めながら、本当のことなんて、
誰も分からないのだ、と思った。


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雪がすべてを隠していく。



(10行DEおしまい)


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by houki666 | 2014-02-14 19:03 | 10行de話(あなたの隣に)

鹿埜類詩集6 【カラス】

カラス (3rdアルバム【睡眠窟】より)

黒いカラス
白いカラス
青いカラス
紺のカラス
ぼくはそのどれでもない。

夕暮れ時は
どのカラスも家に帰る
神社があるあの山
るるるるるる
ぼくはどこにも帰らない。

どこからか
カレーライスの匂いがする
ぼくは途方に暮れて
ゲームセンターの隅で
血まみれのゾンビを撃つのさ


誰かがぼくに声をかける
遊ばないか?
見れば制服を着たカラスだ。
山へ帰れとぼくは叱った。

どこからか
カレーライスの匂いがする
ぼくは途方に暮れて
蒼い猫のアパートへ行き
固まった背骨を休ませるのさ

【語り】
寒いなあ
火鉢など役に立たないよ
いつかお金を稼いだら
暖炉のある家を買おうね
それにしても寒いな
そばにいっていい?
カレーライスが食べたいねえ

黒いカラス
白いカラス
青いカラス
紺のカラス
るるるるるる
ぼくはどこにも帰らない


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HP【鹿埜類幻燈博覧館】管理人鴉氏による、注釈



今日は鹿埜類3rdアルバム【睡眠窟】より
【カラス】を取り上げる。

(このホームページをご覧の方だったら、
わたしが「鴉」と名乗っているのは
この曲が好きだからだ、と
思っていたことだろう。
もちろん、正解である)


さて、【カラス】という
シンプルなタイトルにして
7分20秒という、この長い曲は

フリージャズのようなアレンジを
岸田蒼汰(いわずと知れた後に
類の夫となったギタリスト)がほどこし、

そのアレンジのなかで類は、
自由に、ずっちゃずっちゃと
変則的なリズムでクラリネットを従え
ピアノを弾きまくり、

最後にはトランペットが
おもちゃのようなそれのような音で
カラスの鳴き声を永遠と模するという

(このトランペットを演奏しているのは
トランペット奏者として世界的に有名なKだ。
よく吹いてくれたものだと思う。
しかし彼のトランペットがこの曲に
何か、大きな世界観を与えたことは確かだ)

歌詞にはとても
似つかわない陽気さで満ちている。


わたしがこの曲に惹かれたのは
この陽気さだ。

太宰治の「右大臣実朝」に

「アルカルサハ、ホロビノ姿デアラウカ
人モ家モ、暗イウチハマダ滅亡セヌ」

という有名な一節があるが、

この曲を聴いた時、わたしはそれを思い出した。


アレンジミスではないかと思われるほどの
陽気な演奏を従えて歌われる、
鹿埜類が書いた歌詞は暗い。

暗いが、どこか明るさが漂っている。


寒い日暮れに、どこにも帰らないぼくは
神社がある山に帰るカラスを見、
カレーライスの匂いをかぎ、途方に暮れる。

ゲームセンターへ行き
血まみれのゾンビを撃ちまくり
遊ばないか?と声をかけてきたサラリーマンに
唾を吐き、火鉢のあるアパートで
固まった背骨を伸ばす。

火鉢にあたりながら、

お金を稼いだら
暖炉のあるうちに住みたいといい、
カレーライスが食べたいなあと
のんきに言うのだ。


この曲の終わりにある類の語りも
どこか昔話を読んでいるかのように
訥々と明るい。

(1stアルバムなどにあった
吐息まじりの語りではない)


そういえば、3rdアルバム【睡眠窟】は
不思議に明るい曲ばかりが並んでいる。

1 眠り少年
2 苔の恋愛
3 ウエハース泥棒
4 饑餓屋敷
5 インスタント・沼
6 TOBACCO
7 狼と冬菫
8 カラス
9 玻璃食堂
10 しっぽつきGIRL
11 雪解けの日、ぼくは


【饑餓屋敷】という暗い曲も

(とある異国の森の奥深くにある
忘れられた大屋敷に住む
青年テオの物語だ。

ある冬に彼は父親を殺し、
ある夏に母親が彼を殺そうとした。

そこは今饑餓屋敷と呼ばれ、
テオと母親をつなぐ牢獄となっている
という歌詞だ)

ビートルズの
フール・オン・ザ・ヒルを思わせる
牧歌的な曲調にバグパイプが使われ、

【しっぽつきGIRL】に至っては

(栗鼠の歌だ。栗鼠がどんぐりを集めている、
というそれだけの歌詞)

類が木琴を叩いている。

喜びの溢れた弾む音で
聴く方も愉しくなる。


このアルバムの名を冠した
リサイタルツアーで
久しぶりにファンに姿を見せた類は

(この頃、類はテレビ・雑誌に
一切出なくなっていた。
そのため、悪い噂もあった。
精神科に通っているだの、
堕胎してその予後が悪いだの、
そういう類いの噂が
泡のように生まれては
消えていった)

こころなしか全体的にふっくらとしていて

今までの類が着ていたのとは違う
袖のふんわりとした白いシャツと
耳が隠れるくらいまで髪が伸びていて

とても可愛らしく見えた。


このリサイタルツアーでの類は
よく喋り、よく笑った。

類は笑うとき、あはは、と笑った。

「あはは、何言ってるんだか」
と口に人差し指を当てて、笑った。

(以前の類は、決してそんな風に
笑わなかったと思う。
唇のはしをちらりと上げて
はあっとため息をつくように
小さく笑うだけだった)


この頃だろうか、類が「ぼく」と言わずに
「ジブン」と言うようになったのは。

(今にして思えば、この頃が
類が精神的に一番
安定していたのだろう)


ぼくがジブンとなり、
いつか「ワタシ」になる、

(つまり、鹿埜類が瀬野唯と統合される)

そんな予感が類にはあったのかもしれない。


アルバム【睡眠窟】の最後の曲
【雪解けの日、ぼくは】にその予感が
ちらりと見える。

類は、雪解けの日、ぼくはきみに
小さな薔薇を渡すだろう、と書いた。

それは類の「女性性」
だったかもしれない。


また、同じ曲の間奏で小さく

まぼろしの小さなあんよ
まぼろしの小さなおめめ、
おいで、おいで、

とハミングしたのは、
類の母性の目覚めだったのかもしれない、

と今となっては思う。


が、ファンの中には
類に以前のような
少年らしさを要求する者もいて、

(はすっぱな態度、口をゆがめた微笑み
細い黒いタイを締め、脚を広げて椅子に座った。
短く刈った髪をいつも無造作に
指でくしゃくしゃにしていた)

リサイタルの中途で
「類、帰ってきて」と叫ぶ者もいた。

その言葉がかかると
類は明らかに困惑をして、
耳にかかった黒い髪を
気を揉むように触っていた。


わたしとしても複雑だった。

このまま類が髪を伸ばし
薄化粧などをし始めたら
自分は【鹿埜類】に
興味を持ち得続けるだろうかと思った。

類が、恋愛の幸福を歌ったりしたら
それを聞き続けるだろうか、と思った。

(ファン(他者)というのは
なんと残酷なのだろうと思う)


そんなわたしたちの逡巡を
鹿埜類は敏感に感じ取ったのかもしれない。

次のアルバムである【十字塔】は
製作に4年を費やすこととなり、

その間に類はファンクラブ【苔類】の
編集者の質問にこう喋ったことがある。


ー製作は順調?

「順調とはいえない。
キブンの波が大きくて
曲を作るというところまで
行けない時期もあって・・・・」

ー類はキブン屋だもんね

「まあね。時々、鹿埜類を
辞めちゃおうかなと思ったりして」

ーえ?それは衝撃発言だよ

「ははっ、もちろん冗談だけど、・・・。
でも、いったん辞めて
バンドとか、組もうかな、と
思ったりすることもある。
バンド名はもう決めてあるの。
・・・カナリアっていうの
あ、これ、内緒だった」

ーますます衝撃発言だよ!
ねえ、それってマジメな話かい?

「ううん、ただの妄想」

ーあー、よかった。
ところで最近また男前になったね

「え?ああ、髪?
そうなの、金髪にしちゃった。
伸びてきたから、黒が鬱陶しくて。
似合うでしょ?」

ー個人的には一番好きだな
類はそういうのがホント似合うね

「まあね、どっか異質な感じが
ぼくには合うんだね
駅の改札を抜けて
地元の商店街を歩いてたら
おばちゃんにぎょっとされるような
そういうのが、ぼくに合うんだね」

ーあっ、類が帰ってきた。
ぼく、っていうの久しぶりに聞いた

「ははっ、ただいまです」


このインタビューから3年後
鹿埜類は鹿埜類のまま、
わたしたちの前から姿を消してしまった。

引退するとも、休むとも言わず
ただ無言のまま、消えてしまった。


去年の秋、鹿埜類の訃報を聞くまで
わたしは「カナリア」というバンドが
どこかで活動していないかと
インターネットや情報誌を時々探していた。

もしかしたら、類は名前を変え、
音楽を続けているのではないかと
夢想をしていたのだ。

しかし、その夢想は潰えた。


これを書くのは辛いが、敢えて書く。
多分、反論されるだろう。

が、ずっと思ってきたことだ。
だから勇気を出して、書く。


もしかしたら、鹿埜類を殺したのは
わたしたちファンであったのかもしれない。

彼女の変容を拒否したわたしたちは
この結末を望んでいたのではないか、と

鹿埜類が、愛したままの姿で
永遠に自分たちの記憶に残ることを
心の奥底で望んでいたのではないか、と

そう、思ってしまう。

そしてそれを鹿埜類は
理解していたのではないか、と。

だから、極めて自死に近いかたちで
逝ってしまったのではないか、と。

45才というまだ十分に
若さが残る年齢で、わたしたちのために
去って行ったのではないか、と。

(否、そんなことはない。
決して、そんなことはない!)



鹿埜類は暖炉のある家に住んでいたという。

それがわたしにとって慰めになっている。


(HP【鹿埜類幻燈博覧館】鴉随想より)












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by houki666 | 2014-02-11 20:42 | 鹿埜類詩集(吟遊詩人)

嗚呼それは恋だったのだ、冬菫(haiku兎穴)

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 haiku兎穴

 ここは紳士が森の奥に
 掘ったHALL(穴)。
 
 文字たちが集う秘密の場所 
 文字たちは髭の紳士の
 マントに抱かれて囁き合う。



本日、紳士は子守をしている。

小さなお嬢さんを膝にのせ、
昔話を聞かせている。

そういえば、このお嬢さん、
赤いマントを着ている。

頬は薔薇色で、紳士へのお土産にと
籠に葡萄酒とパンを詰めている。

昔話が終わり、紳士の膝で
お嬢さんはあくびをする。

訪れる可憐なる睡眠。
可愛い膝がぶらぶらと揺れる。


そうっと、紳士が
文字たちを詠み上げる。

(お嬢さんを起こさないように)


可愛い娘を食べた狼の骸に
(その血の滴る腹に)
紳士が、句を詠み上げる。


嗚呼それは恋だったのだ、冬菫


恋だったのだ、とわたしも思う。

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by houki666 | 2014-02-09 13:02 | haiku兎穴(紳士と共に)

探偵フランネル2 (10行DEお話)

雪が降っている、積もっている、なんとなんと。

探偵フランネルはいつものごとく寝坊して、
昼過ぎに起きたので、雪を見て心底驚いた。

フランネルは自分の部屋の窓際に椅子を置き、
牛乳を温め、パンをかじりながら雪を見た。

暗くなるまで見た。(母親は旅行中だ)


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もう、1年半学校に行っていない。

独りぼっちと雪は合うなあと思った。


(10行DEおしまい)




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by houki666 | 2014-02-08 17:20 | 10行de話(あなたの隣に)

ぽっぺん先生と。(空想ごはん)

独活大学の学食にパートのおばさんとして
働き始めたのは、秋の終わりだった。


わたしは長らく専業主婦だったが

(31才の時に大きな病気をし、
長く入院をした後、働かなかった)

50才を迎えた夫の給与が
階段をひとつ飛ばしで降りたかのように
急にがくんと下がってしまったので

思い切って働くことにしたのだ


10年前に買った中古マンションの部屋から
(7階、ローンはもちろん残っている)
見える広大な敷地があった。

雑木林に囲まれたそこは、
このあたりの鳥たちの住処になっていて
日暮れになると鳥たちはそこをめざし、
帰って行った。

(わたしは幼い頃からの
バードウオッチャーなので
マンションのベランダから
それをいつも眺めていたのだ)

そこには馬場もあるらしく
朝早く散歩すると、時折馬のいななきが聞こえた。


わたしはそこが独活大学という
私立大学であることを知っていたが、

(そしてそこには幼稚園も
中学校もあることも知っていたが)

こどものいないわたしは特に
鳥たちの大切な住処として以外
特に関心はなかった。

それが、仕事を探し始めたある日
独活大学の学食は美味しい、と評判を聞き、
俄然、興味が湧き始めたのだ。


わたしの唯一の欲は、
「美味しいもの」を食べることで

それも、「グルメ」と呼ばれるような
美食をレストランで食べることではなく

普通の家庭の食卓に出されるような
「美味しいもの」を食べる機会を得ることに
熱意を日々、燃やしていた。

(トラックやタクシーの運転手さんで賑わう
定食屋さんの鯖の味噌煮や、
駅裏にある居酒屋の突き出しの梅煮やら
魚市場の近くにあるcafeの貝のスープやら
料理上手のスナックのママが作る焼きうどんやら
そういうものを食べるのがわたしは好きだった)

わたしは俄然、独活大学の学食が食べたくなった。


評判を聞いた数日後、
独活大学の事務局に電話をしてみた。

「そちらの学生食堂で求人はありませんか?」

単刀直入だ。

「ありますよ」

あっさりと電話口に出た男性は答えた。

「働かせていただけませんか?
近所に住んでいる、42才オンナです
歩いて通えます、交通費いらないです」

男性は笑って、面接に来るように行った。

わたしは翌日面接に行き、あっさり採用された。


学食の仕事は、朝8時半から午後4時半までだ。
朝は仕込みをし、午前11時からお昼が始まり
午後3時過ぎには終わり、その後、片付けをする。

念願叶い、お目当ての独活大学学生食堂の昼定食は
毎日、食べられることとなった。

評判通り、美味しかった。
定食に何品かつく地味なおかずが
なんともいえないほど、普通で、美味しかった。


学食で働いてすぐ、わたしは気になるひとができた。

そのひとは大学の助教授らしかった。

度の強い眼鏡をかけ、くたびれたスーツに
くたびれたネクタイをぶらさげ、
いつも歩く度に奇妙な音がするつっかけを履いている。

そのひとは、いつも気のない感じで、
定食の食券(青いセルロイド)を頼み、

わたしたちが定食の蟹コロッケを揚げたり
おひつからごはんをよそっている間、

カウンターに肘をつき、ぼんやりと何かを考えながら
デコボコの薬缶を引き寄せて、麦茶を湯飲みに注ぐのだ。

そして、定食を手に外に出て行く。

つっかけをぽっぺん、ぽっぺんと鳴らしながら。


わたしはベテランのパートのひとに、
あのひとはどういうひとか、と聞いた。

「変わり者の先生よ、いつも外で食べるの。
沼の近くの木の下で、食べてるわね。
ぼうっとしているのか、よく食器をこっちに
持ってくるのを忘れるの、迷惑なハナシよ」

そのハナシはわたしのツボにはまった。
わたしはそういうひとが好きなのだ。

わたしはそのひとの名前を心に刻んだ。
いつか喋ってみたいと思った。


その機会が来たのは、ある雪の日だった。

関東には珍しく、夜明けから雪が降り始め、
朝には8センチほど積もっていた。

その日は土曜日で
基本的に授業はなかったが
学食は開けることになっていた。

授業の無い日ほど、学内で
お昼を食べあぐねる教授や職員が多いのだ。

雪の影響でバスや電車が遅れた。

わたしの携帯電話は、他のパートのひとからの
「ごめん、遅れる」「車が出せるようになったら行く」
「こどもを受験会場に送っていくから休む」
というメールで埋まった。

まだまだ雪は降るらしく
わたしはゴム長靴を履いて大学に向かいながら
今日はずっと独りかもしれない、と思った。

学食に定時に着き、独りで準備を始めた。
独りだったので、学食の献立を変更した。
揚げ物をやめることにした。

(ひとりでは揚げ物をしながら
ごはんや味噌汁をよそえない)

予定していた菜の花とじゃこのかき揚げをやめて
それを炊いたごはんに混ぜることにした。

献立を書く黒板にこう書いた。


本日(雪の日)の定食
けんちん汁
菜めし(じゃこ入り)
蕪とはんぺんの煮物
つけもの(胡瓜、たくわん)



雪はますますひどくなった。
食堂のテレビをつけると、
交通はいたるところで混乱していた。

12時、わたしは独りで、客を待った。
教授陣や、事務局長や守衛さんを、
卒論を書くため図書館にいりびたっている学生達を待った。

が、なぜか誰も来なかった。

わたしはつまらなくなり、
食堂のテラスに出て、雪兎を作った。


雪兎を3つほど作ったところでそのひとが現れた。

いつも通りに青いセルロイドの定食の食券を出し、
やかんの熱いお茶を湯飲みに注いだ。

そのひとはけんちん汁が好物らしく
わたしがそれを椀によそう時、
「できればたっぷりと」と注文をつけた。

そのひとは定食のトレイを持つと
テラスへ出て、ひょいひょいと雪を踏んで
沼の方へ行ってしまった。

こんな天気でも外で食べる気らしかった。
わたしは嬉しくなり、腕まくりをした。

献立の黒板にこう、書き添えた。

「沼のほうにいます。
お昼をご希望の方はこの番号に電話してください。
すぐに参ります
090-○○ー××××」


そしてわたしは青いセルロイドの食券を買い、
トレイに定食を並べ、そのひとの後を追った。

そのひとは雪を頭にかぶりながら、
けんちん汁をすすっていた。

うっとりと雪を吸い込むような綠の沼を眺め、
雪を枝にのせた木々たちに潜む鳥たちや
構内にいる様々な生物たちと静かに交信していた。

(わたしにはそう見えた)

「一緒に食べてもいいですか?」

わたしは声をかけた。

「あなた、テラスにある雪兎を作った?」

わたしが頷くとそのひとは

「良い出来です」と笑った。


ふたりでけんちん汁をすすり、
雪が降りかかる菜めしを食べた。

わたしの携帯電話は一度も鳴らなかった。


わたしはそれから時々、そのひとと喋るようになった。
喋ることはほとんど生物のことだ。

(特に鳥)

わたしは大学の講義を受けるより
遙かに有益なハナシを

カワセミとの愛のハナシは何度聞いても泣ける)

そのひとから聞いている。


良いパートの口を見つけて、幸福だ。


(fin)



【この話に出てきたお料理】

鯖の味噌煮(八丁味噌)
梅煮
(ブランデーで)

貝のスープ
(にんにくバターたっぷり)
焼きうどん
(豊橋の竹輪入り)
けんちん汁
(そのひとの好物)
菜めし
(じゃこ入り)
蕪とはんぺんの煮物
(白くて可愛い)
つけもの
(歯に冷たい)








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by houki666 | 2014-02-08 13:42 | 空想ごはん(何がご馳走?)

鹿埜類詩集5 【ヘンゼル1986】

ヘンゼル1986(1stアルバム「幻燈会」より)


襖の向こうで声がした
あれはマザーとファザーの声だ

「あの子は思ったより頭が悪いですね」
「偏差値が伸びない」
「おまけに太っている」
「運動もできないんですよ」
「もう駄目でしょうね」
「何をやってもパッとしない」

ああ、ぼくは今夜捨てられるだろう
ポケットにパンを、パンを詰め込んでおこう


声はだんだんと辛辣になる
ため息と失笑、氷のような声だ

「今回の模試もさんざんでした」
「塾の月謝はいくらなんだ」
「わたしのパート代と同じです」
「こづかいは何に使っているんだ」
「漫画とゲームですよ」
「あの子がいなけりゃ楽になるな」

ああ、ぼくは今夜捨てられるだろう
暗い森昏い森、パンをちぎって道しるべに


襖の向こうで声がする。
マザーとファーザーの秘密の会議

「妹はできがいいな」
「ええ、あの子は素直ですから」
「おまけに顔が可愛らしい」
「脚も長くてスタイルが良いのです」
「妹に手をかけてやろう」
「ええ、そのほうがいいでしょうね」

ああ、ぼくは今夜捨てられた
ポケットにパンを、・・・・・パンが無い。
ああ、ぼくは今夜独りぼっち
暗い森昏い森、ギターピックをポケットに入れ

【語り】
ヘンゼル1986
(ナインティーンエイティシックス)
それからぼくは学校をやめ、歌を歌い始めた
ヘンゼル1986
(ナインティーンエイティシックス)
棄て子なんだ



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HP【鹿埜類幻燈博覧館】管理人鴉氏による、注釈


先日、テレビをつけると
見覚えのある女性が映っていた。

10年前、同棲していた男性と
共にドラック所持を疑われ、

(結局は不起訴となった。
が、男性は逮捕された)

実質上女優を辞め、
単身ニューヨークに渡っていた、
恵那遥(えなはるか)だった。

彼女は、女優に復帰するということで
都内の小さな演劇スタジオで
記者会見を開いていたのだ。

薄化粧に加え、
セーターにジーンズという軽装だった。

演劇スタジオのロビーでの会見で
照明も無く、その頬は青白んで見えた。

が、ペルシャ猫を思わせる華やかな美貌と
そのまっすぐな美しく長い黒髪は健在で
大女優への階段を上り詰めていた頃の
周りを圧倒するようなオーラは
そのままにあった。

恵那遥は、独特の
ぽつぽつとつぶやくような口調で、
周りのレポーターたちが
差し出すマイクを避けるように
時折顔を伏せて、語っていた。

「いろいろと、ご迷惑をおかけ、
したこと、を、お詫びします。
この10年、ニューヨークで、
演技の勉強をこつこつと、やってきました。
今回、帰国したのは、小栗さんから、
直接、舞台のオハナシをいただき、
ぜひ、やってみたい、と思ったからです」

隣に、小栗という髪を茶色に染めた
背の高い男が立っていて、それを受けて、
快活に笑い、こう言った。

「恵那さんを初めて見たのは小学生の頃でした。
もちろん、あのドラマです。

(レポーターたちが笑う)

ぼくはあのドラマでの、
恵那さんが演じたメグに
本気で恋をしまして、
その恋は今も続いています。

この舞台でぼくは長年の恋を
成就させたいと思っています。

恵那遥さん、まずは、
ぼくのラブコールを
受けてくださってありがとうございます!
今後、ますますラブラブになりましょうね~

(レポーターたち、どっと笑う)」


小栗という男は
【跳16角形】という劇団を率いていて
昨年、有名な脚本賞も取ったのだそうだ。
役者としても、映画やテレビドラマで
活躍しているらしい。


が、そんなことをどうでもよかった。
わたしは小栗という男が
「あのドラマ」と言った瞬間に
テレビのリモコンを取り、ボリュームを上げた。

案の定、流れてきた。

鹿埜類の「ヘンゼル1986」が。

「あのドラマ」は主演女優であった恵那遥が
ドラック所持の疑いで騒がれてから
再放送はおろか、予定されていたDVD化も
とだえてしまった。

最高視聴率42パーセントを取った、
「あのドラマ」が再放送されている間は
鹿埜類のアルバムも不定期ながらも
再発され、その名前が
店頭からは消えることはなかった。

が、恵那遥がニューヨークに去り
その後、鹿埜類の音源は
手に入らなくなってしまった。

すべて廃盤となったのだ。


わたしは10年ぶりにテレビから流れる
鹿埜類の歌声に聞き入り、
鹿埜類を世間に知らしめたこの曲が
「あのドラマ」の主題歌になって
しまったことを残念に思った。

「あのドラマ」は近親相姦、虐待、
貧困、自殺といったドラマでは
タブー視されていた題材を多数扱い、
小・中学校などではできる限り
見ないようにと言われるほどの問題作だった。

恵那遥が演じたメグの、
脚本家のいうところの
「宿命としての受難者」としての最期は、
大新聞がコラムに取り上げるほど
衝撃的なもので、その最期の場面に
大音量で流れた「ヘンゼル1986」は
鹿埜類をも受難者にしてしまった、
のかもしれない、とわたしは思い至ったのだ。

(もしかしたら恵那遥も)


そう、恵那遥(えなはるか)と
鹿埜類(かのるい)は、当時
どちらも17才の少女だった。

(鹿埜類もドラマに出演した。

恵那遥が演じたメグが足繁く通った
ライブハウスの出演者として、
時折、登場した。

そこでピアノを前に

短く刈った髪から覗く小さな耳に
安全ピンを何本も刺した、
「零(レイ)」という名の
性別不明のシンガーとして
【ヘンゼル1986を】歌った。

或いは【センチメンタル・井戸】を歌った)


このドラマに出演したことで
ふたりの17才の少女は一躍有名になり
それぞれの道を歩んでいった。

恵那遥は次々とドラマや映画に主演し、
奔放な私生活を隠さず、
雑誌やワイドショーを賑わし、

鹿埜類はテレビ出演を断るようになり
作る曲はだんだんと難解なものへと変わり
契約していたレコード会社や事務所と
トラブルを頻繁に起こした。

そして、ふたりともある時を境に
忽然と姿を消してしまった。



恵那遥の記者会見を知った方が
管理人にコメントをくれた。

岡山に住む、教師ヘンゼルさんだ。
紹介しよう。

「鴉さま、
HPいつも拝見させていただいています。
わたしは岡山在住の42才。
高校で国語の教師をやっております。

(中略)

鴉様はご覧になったでしょうか。
先日、恵那遥が女優に復帰するとのことで
10年ぶりにテレビに映っていました。

何やら舞台をやる、ということでの
会見だったらしいのですが、その間、
鹿埜類の【ヘンゼル1986】が
流れた様子です。

(妻が見ていて教えてくれたのです。
妻はわたしが十代の頃からの
熱烈な鹿埜類ファンだということを
知っておりますので)

(中略)

同い年の恵那遥の健在を知り、改めて
何故、鹿埜類は死んでしまったのか、と
悲しくなりました。

妻は辛辣なリアリストですので、
(妻も元教師。数学を教えていました)

「鹿埜類は20代半ばで引退して
姿どころか、声さえも表に出てないんだから
その時点で死んでしまったようなものじゃない。
めそめそするほどのことじゃないわよ」

と、昨年の秋の訃報を聞き、
白髪がどっと増えるほどショックを受けた
わたしに言いましたが、

(彼女なりに慰めてくれたのです)

それでもやはりこうして
彼女の不在を感じると
今も、気持ちが落ち込みます。

(後略)」


わたしも「教師ヘンゼル」さんの
気持ちがよく分かる。

わたしには妻はいないが、時折姉に言われる。
姉もリアリストで辛辣家だ。

先日も言われた。

「あんた、いい年をして
まだ鹿埜類なんて言ってるの?
え?HP作った?
youtubeにも曲をUPしている?
ばかね、そんな暇があったら婚活しなさいよ。
あんたが年取って倒れたり、
ぼけたりしても、
あたしは面倒見ないわよ。
亭主と親で精一杯なんだから」

(どうやら姉はジブンが倒れたり、
ぼけたりする可能性は
皆無だと思っているらしい)



もうひとつ、このHPに
寄せられたコメントを紹介しておこう。

埼玉に住む、涙壺さんからのものだ。

「こんばんは。
中学、高校と、女の癖に
鹿埜類に恋していた涙壺と申します。

(鴉様、笑わないでくださいよ、
だって類は本当に美少年でしたもの!
というか、少年と少女の間にいる何か
類い希なるベツナモノ、でした・・・)

(中略)

ところで、鹿埜類の夫であった
岸田蒼汰の近況が、息子が買っている
音楽雑誌に出ていましたのでお知らせします。

岸田蒼汰氏は今度、あるロックバンドの
再結成コンサートツアー(全国7ヶ所)の
サポートメンバーとして参加するそうです。

岸田蒼汰が表に出てくるのは久しぶりで
楽しみだ、と雑誌の編集後記にありました。

そういえばここ10年くらいは
蒼汰氏はアイドルのプロデュースとか
中堅シンガーのTやKに曲を提供したりとか
裏方に徹していましたものね。

(やはり類の病状が良くなかったのかしら?
類が引退してしばらくは、先に書いたKの
コンサートツアーに参加したりしていたのに)

わたしは類が大好きだったんですけど、
蒼汰氏のギターも同じくらい
好きだったので、
もしチケットが取れたら
行ってみようと思います。

それにしても、蒼汰氏、
50才を過ぎても
ハゲもせず、太りもせず、
あの頃の雰囲気を保っていて、すごい!

きっと類も変わらないまま、
逝ったんだろうと想像して
面影を追って、こころを慰めています。

(後略)」


涙壺さん、
わたしは40代後半ですが
もうすでに、ハゲて、太っています。(笑)

しかし、晩年(といっても45才でしたが)の
鹿埜類が外見的にどのように変わっていても

(できれば太っていてほしかったと思います。
彼女は食べられずに苦しんだと聞いているので)

わたしはやはり、彼女は
彼女のままであったと思うのです。

魂はそのまま、逝ったのだ、と。

そしてそれが、時折悲しみに変わるのです。



【追記】

この頃は、HPに来て
コメントを残してくれる方が増えてきました。

また、恵那遥の復帰が報道されてからは
アクセス数もUPしています。

何らかでも鹿埜類を知る方、
思い出す方が増え、その結果、
鹿埜類の音源が
復活することを願っています。


(HP【鹿埜類幻燈博覧館】鴉・随想より)

















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by houki666 | 2014-02-06 12:22 | 鹿埜類詩集(吟遊詩人)