いろいろ空想してそれを文字にしています。haiku、10行の話、空想レシピなど。
by 空想家sio


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隣の不良くんたち2

○月×日

朝、ゴミ捨てに行ったら
収集所の前で、
○蘭高校の
AくんとBくんが、
優雅に喫煙していた。

その学ランは黒びかりしており、
ふたりの特異なヘアスタイルは
まさに、一筋の乱れもなく、
赤と金の【とさか】として
ふたりの頭に君臨していた。


(思わず、おまえら80年代かよ、
横浜銀蠅かよ、なめ猫かよ、と
突っ込みたくなるヘアスタイルだ。

数あるヘアスタイルのなかで
なぜ、この【とさか】を
AくんとBくんが選択したのか知りたい)


わたしは太ったカラダを
すぼめるようにして
収集所の隅に
持っているごみ袋を置こうとした。

が、ふと気がついた。

ゴミ袋には、わたしの大好物
赤いきつねのカップが20も入っている。

(わたしは毎日、
赤いきつねを食べるのだ。
時にダブルで食べてしまうほど、
それが好物だ)

しまった、と冷や汗が出る。


実は、わたしは
ほぼ毎日、赤いきつねを
食べる自分を
何よりも恥じていて、

「このでぶおばさん、赤いきつね
好物なんだ、ジャンク好きなんだな、
だからそんなに太ってんだよ」

と、思われないように、

赤いきつねを入手するのに、
さんざん、苦労しているのだ。


午前中に、コンビニで
通信費を払うついで、
といった風情で
それをひとつ買い、

午後にドラックストアで
トイレットペーパーとラップと共に
それをふたつ買い、

2日に一度は、
大きなトートバックを持ち
急行電車が停まる駅にわざわざ行き
そこにあるスーパーで、
それをよっついつつ買う。


夫にさえ
「赤いきつね」を毎日、
食べていることを知られたくないので
その保管場所にも常に気をつけている。

ひとつは冷蔵庫の上の買い置きの
食器を洗うスポンジやらを入れている籠に

ふたつは食器戸棚の奥に

それ以外はクローゼットの棚に
それぞれ帽子を乗せて隠している。

(わたしは帽子持ちだ。
なぜか、好きで買ってしまう)


そして、夫がいない時、
それを食べている。

ずるずるとテレビを観ながら
無心ですすっている。

食べ終わり、いつも
ひどい鬱状態になる。

「また、赤いきつねを
食べてしまった」と落ち込む。

数時間、落ち込み、
痩せるため、夕食を抜き、

翌日、結局、
またそれを買いに行く。

その、繰り返し。


よく夫がわたしに言う。

「おまえ、あまりメシ喰わないのに
どうして、太ってんの?」
「クスリのせいだよ」
「もう心療内科、行ってないんだろ?
どこでクスリもらってんだよ」
「まだ、残っているから」
「ふうん(疑っている)」

夫は知っているのかもしれない。

クローゼットの帽子の下に
赤いきつねがあるのを。

それらをわたしが偏愛していることも。


わたしは、ぎくしゃくと腰を曲げ
AくんとBくんが吐き出す
煙草の煙を受けながら、
収集所の隅にゴミ袋を置いた。

カップとその赤い蓋が
半透明の袋の外側に張り付き、
おいらはここにいるぜ、と
隠したって無駄だぜ、と
自己主張しているのが分かる。

そそくさと遠ざかる。


不良AくんとBくんが
わたしのむっちりとした背中を見ながら、

「おい、見ろよ、あのおばさん
めちゃくちゃ、太ってないか?」
「うわ、見てみい、
おばさんが捨てたゴミ袋、
赤いきつねでいっぱいじゃん」
「うおっ、マジかよ!」

と言っているのが聞こえた。


・・・・・・いや、
それはわたしの妄想だった。


AくんとBくんは
わたしの存在に、露ほどの
関心も払わなかった。

彼らは5月の
ゴールデンウィーク明けの
ブルー・スカイ・ブルーな

(わたしは小学生のころ、
姉の影響で西城秀樹のファンであった)

青空を眺めながら、

朝の一服を
サイコウに寛いで、

(ほぼ瞑想状態で)

キメていたのであった。


彼らにとって、

わたしや、
わたしの捨てたごみなど

(ましてその中身がほぼ
赤いきつねであることなど)

彼らには、関心外、
いや、大気圏外のことだったのだ。


わたしはマンションの部屋に帰り、
隠していた赤いきつねに熱湯を注ぎ、

ベランダに出て、それを食べた。


○蘭高校では、早くも
朝練、ならぬ、
朝乱闘が始まっていた。

不良とはなんと律儀なことよ、
と思いながら、わたしもまた、
律儀に赤いきつねを食した。

殴り殴られる不良くんたちを見ながら、

(主に、鼻血を盛大に出しながら、
暴れているアフロ頭のCくんを見ながら)

「わたしの人生とは・・・・」と考えた。


AくんとBくんはとさか頭を選択した。
Cくんは朝から鼻血を出しながら暴れている。
わたしは赤いきつねを食べている。


それでもいいのかもしれない、
むしろ、それでいいんじゃね?

と、ふと思い、

ヒデキのあの頃の長い脚と
通りの良さそうな鼻の穴を思った。


ブルー・スカイ・ブルー
あれ、名曲だったなあ・・・・。



○月×日

毎朝、
マンションのごみ収集所の前で
煙草をお吸いになっている
赤と金のとさか、
AくんとBくんの名前が分かった。

ふたりが互いを
こう呼び合っていたからだ。

「ノグよお」
「なんだよ、シブ」

ノグ?シブ?

それ、名前?それとも名字?


わたしはとっさに
野口五郎と渋谷哲平を思った。

(なんせわたしはNHK日曜夕方6時の
レッツゴーヤングを欠かさず見ていた
おませな小学低学年だったからねえ。
42才にして、五郎も
DEEPな哲平を知っているのさ)

その日から、わたしは

赤とさかのAくんをゴロウと、

(ゴロウとは、もちろん
野口五郎からの連想だ。
秀樹ファンからは
短足と言われていた五郎ちゃん。
まじめで繊細で、乙女心を
心底、理解してくれそうな五郎ちゃん。
確かに半パンなどを履き、長い脚を
惜しげも無く見せ、ついでに脇毛も見せ
セクシャルーバイオレット№1なのは秀樹であったが
しかし、名曲【オレンジの雨】を
小さく腰を振りながら
歌う五郎ちゃんは幼いわたしにも
はっきりと分かるほどエロかった。
あの一瞬にして、上がる眉頭と
ふいにとろんとなる瞳のせいかしら?
あの頃の五郎ちゃん、
CGかなんかで戻ってこないかしら
時々そばに置いて苛めたいわ)

金とさかのBくんを
テッペイと呼ぶことにした。


そのせいか、わたしは
マンションのごみ収集所で
ふたりを見かけるたびに
【オレンジの雨】と【DEEP】を
脳内再生するはめになっている。

オレッンジィの雨のなかあ、
ふたりっならあ、

DEEP、青いウミ(海、海)
泳ぐきみのかっげえ

そのつど、
五郎が小さく腰をふり、
哲平が踊りまくる。

ああ、うるさいこと!



※この日記を書いた半年後に
ふたりの本名が発覚。

ノグは、野口旬
シブは渋沢ミツルだった。

現在、○蘭高校の最強の
グループ【稲庭うどん】に属するふたりだ。

って、グループ名が
【稲庭うどん】って、
あいつら、もしかして、
すごくクレヴァーで
COOLなのかもしれない。

遊びやせんと生まれけり、みたいな。

そんな感じ。



(3につづく)




※ もう空想家やめようかな。
だってあたしの書いているのって
暗いし、くだらないし、なんかオタクだし

と思って、しばらくここから
遠ざかっていたら

ある方がわたしにイイネをくださいました。

まじめに嬉しかったです。

ということで、くだらなくていいやと

(つまり赤いきつね食べてもいいや、と)

また時々書くことにしました。


この場を借りてお礼を言います。
ありがとうございます。

SIO








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by houki666 | 2014-05-08 10:17 | 隣の不良くんたち